春分の日が過ぎ、4月になると沖縄では各地で「清明祭」が行われます。清明祭とは、ご先祖のお墓に行きお供えをして供養をするお祭です。沖縄の多くの人は「シーミー」と言っています。元々は中国から伝わったそうですが、それが、沖縄の独自のやり方で発展し受け継がれてきたそうです。

この清明祭(シーミー)は、沖縄では1年の行事の中でも最も重要で大切とされている行事です。本土でもご先祖のお墓参りは大切な行事として行っていますが、沖縄の清明祭(シーミー)は沖縄各地で暮らしている人、また県外で暮らしている親族一同が集まりお墓参りをします。なかには日本を離れて海外で暮らしている人もこのシーミーになると沖縄に帰ってくると言う最大行事なんです。

本土では親戚一同が集まりお墓参りすることは少なくなった地域が多いかと思いますが、親戚一同が集まるなんて大変なことですが、清明祭(シーミー)はそれだけ沖縄では大切に受け継がれてきているんですね。

■本土のお墓参りとはやり方が違います。

沖縄で行われる清明祭(シーミー)は、本土のお墓参りとは大分やり方が違います。本土の場合、お線香、水、お花などを持ってお墓参りしますが、沖縄で行われる清明祭(シーミー)には、お線香やお花の他に重箱料理や天ぷらなど、おいしそうなお料理をいっぱい持ってお墓に行きます。

お墓に着いたら、まずお墓の掃除をしてきれいにします。沖縄に来たことがある方は知っているかと思いますが、沖縄のお墓は本当に広い敷地で形も独特でお墓とは思えません。まるで小さな1軒の家のようです。お墓がきれいになったらその後お参りを行い、それが終わると、お墓の前に大きなビニールシートが敷かれ、そこで重箱など持ってきた料理を広げて家族・親戚一同で食事がはじまります。

これは、あの世のご先祖様と現世に生きている人が一緒に食べると言う意味が込められているんだそうです。久しぶりに顔を合わした親族とおいしい料理を食べながらお酒を酌み交わし近況報告を行って、親族の健康を願い絆を深め、また一年も無事に過ごせるようご先祖様にお願いします。

■重箱料理にも思いがこめられています。

気になる重箱の中の料理ですが、餅のほかに御三味(ウサンミ)と呼ばれる、かまぼこ、揚げ田芋、魚の天ぷら、昆布、豚三枚肉、揚げ豆腐、こんにゃくの煮しめ、などのお料理が入っています。これにも、きちんと意味があり先祖様を敬うという意味が込められている「おもてなしの料理」なんですね。

  • 豚の三枚肉・・・三枚肉とは豚のバラの部分のことです。重箱料理の主役料理。昔は最も豪華なご馳走で、ご先祖様への感謝に気持ちが込められています。
  • 赤かまぼこ・・・魚で作られるかまぼこも昔はごちそう料理。白いかまぼこは法事で使い、シーミーでは赤いかまぼこが使い重箱を華やかに彩ります。<
  • 揚げ田芋・・・琉球野菜の田芋(タイモ)、浅い水を張った畑(水田)で栽培されています。一株にたくさんの子芋ができるので、子孫繁栄を願った料理です。熱を加えるとサトイモより粘り気がでるので沖縄ではスイーツやお菓子に使われています。
  • 昆布・・・一般的には結び昆布を使いますが、亡くなったばかりの家族がいる家庭では返し昆布を使います。